竹取物語1 冒頭「かぐや姫の発見」
『竹取物語』は、日本最古の物語作品でありながら、完成度が高くとても魅力的な作品です!
文法事項を学びながらも、その物語としての面白さも味わってみてくださいね(^-^)!
まずは、有名な冒頭部分です。授業で暗唱したという方も多いのではないでしょうか。
【今回の本文】
今は昔、竹取の翁(おきな)といふものありけり。
野山にまじりて竹をとりつつ、よろづのことに使ひけり。
名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける。
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。
それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
【歴史的仮名遣い】
・いふ→いう
・よろづ→よろず
・使ひ→使い
・なむ→なん
・いひ→いい
・うつくしう→うつくしゅう
・ゐ→い
↓復習はこちら
【今回の重要語】
意味を言えますか?教科書などにマーカーでチェック!
☆今は昔
☆よろづ
☆あやしがる
☆ばかり
☆いと
☆うつくし
☆ゐる
【文法事項】
☆係り結びの法則
なむ→ける(連体形)
☆已然形+ば
【助動詞】
意味と訳し方を覚えておきましょう!
本文で見つけたら、〇で囲んでチェックしましょう!
☆けり→過去(~た)
☆たり→完了(~た、~てしまった)・存続(~ている、~てある)
【現代語訳】
傍線部は訳すときにポイントになる所です!
☆は重要な単語や文法になります。
テスト勉強ではおさえておいた方がいいでしょう!
訳を考える際の参考に、細かい知識も書いています。テストでは、☆の部分をしっかりおさえておけば大丈夫だと思います。
①今は昔、竹取の翁(おきな)といふものありけり。
☆今は昔→今となっては昔のことだが
物語のはじまりの決まり文句。現在は昔話は、「昔々あるところに~」と言ってはじまることが多いですが、昔の常套句はこれでした(^-^)
☆けり→過去の助動詞「けり」連体形
今となっては昔のことだが、竹取の翁という者がいた。
②野山にまじりて竹をとりつつ、よろづのことに使ひけり。
・まじる→(山や野に)分け入る
・つつ→継続・継続の接続助詞(~ては、~し続けて)
☆よろづ→全て、あらゆること
漢字で書くと、「万」。八百万(やおよろづ)の神々と言ったりするときの万ですね!
☆けり→過去の助動詞「けり」終止形
野山に分け入って竹を取っては、あらゆることに使っていた。
③名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける。
・をば→「ば」は格助詞「を」の働きを強調している。
☆なむ→強意の係助詞。現代語訳は不要。係り結びの法則で、文末が連体形に。
☆ける→過去の助動詞「けり」連体形
その名を、さぬきの造といった。
④その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
・もと→根本
☆なむ→③と同様。これで係り結びの法則を覚えてしまいましょう!
☆ける→③と同様。
☆古文は、よく助詞が省略されるので、補って訳しましょう。今回は、主語を表す「が」を補いました。
その竹の中に、根本の光る竹が一本あった。
⑤あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。
☆あやしがる→不思議に思う
形容詞「あやし」に接尾語の「がる」が付いた形。形容詞が動詞になり、「~のように思う、~のようすをする」の意味になります。
現代語でも、「痛がる」「かわいがる」などなどありますね(^-^)
・に→単純接続の接続助詞(~すると、~ところ、~と)
☆たり→存続の助動詞「たり」終止形
☆助詞の省略が今回もありますね(^-^)
不思議に思って、近寄ってみると、筒の中が光っている。
⑥それを見れば、三寸ばかり なる人、いと うつくしうて ゐ たり。
この一文は、重要語のオンパレードです!
☆已然形+ば→~すると、~したところ
マ行上一段動詞「見る」の已然形+接続助詞「ば」です。
・三寸→昔の長さの単位。一寸は約3センチくらいです。
☆ばかり→程度の副助詞(~ほど、~ころ)
・なる→断定の助動詞「なり」連体形
☆いと→とても、たいそう
☆うつくしう→シク活用形容詞「うつくし」連用形「うつくしく」のウ音便
かわいらしい
現代語とは意味が違うので要注意です。小さいものに対して、かわいいと思う気持ちを表す言葉です。
☆ゐ→ワ行上一段活用「ゐる」連用形
座る
☆たり→存続の助動詞「たり」終止形
その筒の中を見てみると、三寸ほどの人が、たいそうかわいらしい様子で座っていた。
今回は以上です。
質問などあれば遠慮なくしてくださいね!
歴史的仮名遣いの読み方
☆歴史的仮名遣い→現代仮名遣いの変換をマスターしよう!!
歴史的仮名遣いを理解することは、単語や文章の正しい理解につながっていく古典の基本中の基本になります!
すらすら読める楽しい読解につながっていくので、頑張りましょう(^-^)!
法則は7つです。
- 1、語中・語末の「はひふへほ」→「わいうえお」に直す
- 2,「ゐ・ゑ・を」→「い・え・お」に直す
- 3、「ぢ・づ」→「じ・ず」に直す
- 4、「くわ・ぐわ」→「か・が」に直す
- 5,助動詞「む・らむ・けむ」や助詞「なむ」の「む」→「ん」に直す
- 6、母音の連続→長音(伸ばして読む)に直す
- 7、母音+ふ→法則1と6を組み合わせて直す
1、語中・語末の「はひふへほ」→「わいうえお」に直す
例)にほひ→におい
おもひ→おもい
※語頭は、そのまま読みましょう!
例)はべり
※また、複合語にも注意です!
例)あめふり→あめふり(そのまま)
あめふりは、「雨+降り」という2つの単語から出来ていますよね。
だから、「ふり」は語頭に当たるため、そのままです。
2,「ゐ・ゑ・を」→「い・え・お」に直す
これは、昔のワ行が「わゐうゑを」と表記されていたためです。
例)をかし→おかし
まゐる→まいる
こゑ→こえ
3、「ぢ・づ」→「じ・ず」に直す
例)ぢごく→じごく
これは簡単ですね!
4、「くわ・ぐわ」→「か・が」に直す
「くわ」と早口で何回も言っていると、「か」に聞こえてきますよね。
同じように、「ぐわ」と早口で何回も言うと、「が」に聞こえてきます。
「くわ・ぐわ」より「か・が」の方が発音が楽だったのでしょうね。
例)くわじ→かじ
ぐわんかけ→がんかけ
5,助動詞「む・らむ・けむ」や助詞「なむ」の「む」→「ん」に直す
例)「さぬきの造となむいひける」(竹取物語)
→「なん」
平安時代までは日本語に「ん」の文字は存在しなかったそうです。
しかし読むときには「ん」と発音していました。
現代では「ん」の文字があるので、「ん」に直します。
6、母音の連続→長音(伸ばして読む)に直す
これはパターンが3つあります。
母音の連続は、ローマ字にしてみると分かります。
慣れるまでは、まずローマ字に直してみましょう!
①au→ou(あう→おう)
例)さうし→そうし
ローマ字にすると・・・sausi
法則より・・・sosi
②iu→yu(いう→ゆう)
例)しうか→しゅうか
ローマ字にすると・・・siuka
法則より・・・syuka
③eu→yo(えう→よう)
例)てうし→ちょうし
ローマ字にすると・・・teusi
法則より・・・tyosi
①②③を、あうおー、いうゆー、えうよー、と何度も唱えて覚えましょう!(笑)
7、母音+ふ→法則1と6を組み合わせて直す
最後の法則は今までの組み合わせです。
例)けふ
まず、法則1より・・・けふ→けう
そして法則6を使います。
ローマ字にすると・・・keu
法則6の③より・・・kyo
ということで、
けふ→きょう
となります!
法則は以上です。
法則がきちんと理解できれば、大丈夫です。
あとは慣れるまで、教科書で出てきた文章を音読したり、問題を解き直したりしてみてくださいね!